好きな事の為にフリーの道を選んだ人のコミックエッセイ

「私の場合は、山でした! 女一匹フリーター、じたばた成長物語 著者:鈴木みき」 会社員以外の道を選んだ人はどんな暮らしをしているのか?どんな人生を歩んでいるのか?それを知りたくて手に取ったコミックエッセイ。

登山を趣味とする女性が増え、そのファッションの可愛らしさからも"山ガール"がブームとなったが、著者の鈴木みきさんはその山ガールの火付け役となった人物だ。

「私の場合は…」というタイトルは、自分にとっての幸せな生き方を教えてくれたもの、自分の人生を「変える・考える」キッカケを与えてくれたものが、彼女の場合は山だったという意味だと私は受け取った。

とにかく山が大好きで、もっと山の傍に居られるようにするにはどんな仕事をすればいいのか?と考え始め、その後にどんな行動を取ったのか。ゆるいイラストで彼女の20代半ばから30代後半までを描いている。

紆余曲折ありながらも理想の生活を手に入れた女性の自叙伝。

著者の現在の職業はイラストレーター。彼女の面白いところはイラストレーターとして活躍後に登山に目覚めたのではなく、「山で自由に暮らしながら自分に合う仕事がしたい!」という気持ちからイラストレーターを目指し始めたというところ。

とにかく彼女にとって、何よりも山が優先。だから勤め人ではなく場所を問わずフリーで出来る仕事を探した結果、イラストレーターになる事を決めた。

普通の人なら「自由な仕事がしたい!」→「イラストレーターになろう!」という思考にはならないと思う。しかも彼女は美大を出ているわけではない。それでも自分を信じる事が出来たのは、やはり山への情熱なのだろう。

エッセイの中では詳しく書かれていないが、読んでいると20代後半の時に自ら応募した山雑誌の読者モデルをしていたようで、その時に知り合った雑誌関係の人達からの協力を得られたようだ。

そうは言っても、イラストレーターだけで食べていくのはそう簡単な事ではない。アルバイトをする傍ら、自ら出版社に売り込みの電話をかけ始めた時にはすでに33歳。

私が読んでいて凄いなと思ったのは、彼女の頭の中には"山"しかないという事。世間では結婚だ、婚活だ、出産だ、なんて焦って悩んでいる女性がわんさかいる年代なのに、彼女は目の前にある"山での暮らし"しか見ていない。見えていない。夢を叶える事だけに集中している。

コミックという事でかなり要約されているので、結婚の事なんかも全く考えなかったわけではないのかもしれないが、これを読んでいる限り彼女は本当に真っ直ぐでカッコいい女性だなと思った。

彼女には、イラストレーターとして食べていける才能が描く事以外に人徳というものもあったと思う。もちろんそれも実力のうちだ。私のような人付き合いをしない人間だったら、仕事を貰うことなんて到底出来ないのだから。

なので私がこの本に影響を受け、彼女の生き方に憧れたからと言って、彼女と同じような人生を送る事は難しい。けれど、自分の人生はこのままでいいのか?どう生きたいのか?と、自問自答している私は少し勇気が出たし、生き方について改めて考える良いきっかけとなった。

普通に結婚したり、正社員で安定した道を選ぶ事も当然アリだし、逆に不安定でも自分の理想を追い求める事もアリ。人生なんて何でもアリなのだと思えるコミックエッセイ。

彼女もこう言っていた「私なんていてもいなくてもあまり関係ないのだから、もっと好きな事をしよう!」