癒やし本は、心の状態で見出しを選び読みたくなる

「こころの処方箋 著者:河合隼雄」 オススメしてもらって読んだ本。最初は自己啓発本かなと思ったけれど、読んでみるとエッセイという感じで読みやすかった。著者の故・河合隼雄さんは臨床心理学の専門家であり、ユング派分析家の資格を持ち、カウンセリングも行っていた有名な先生。

1から55までの見出しがあり、その時の自分の悩みや心の状態に合わせて読みたいものをチョイス出来るところがいい。タイトルはこころの処方箋だけれど、私の印象としては「こころの癒し」という感じ。

全体的には、子どもや家庭についての話が多いかな?という印象。おそらく、そういうカウンセリングが多かったのだろうと思う。そんな55の見出しの中から、私のこころを癒してくれたものを少しだけ抜き出してみると…。

善は微に入り細にわたって行わねばならない

共感し頷きながら読んだ。本の中では老人ホームでのボランティアを一例にしている。ボランティアは入居者の要求を全て聞いてあげ、無償で優しい善行をする。その結果、入居者は自分で出来る事をしなくなってしまう。

すると今度は、施設のスタッフが苦労する事となる。善行をしたいのなら、細かいところまで気付くようにしなければいけないよ、という事だ。ボランティアに限らず、他人への親切は時に迷惑になる事もある。これは本当に常日頃から意識したいと思っている。

うそは常備薬 真実は劇薬

人間関係を上手く回す為に毎度、常備薬として"うそ"を使っていると徐々に周囲はそのお世辞に気付き始めるので、信用を失いかねない。とはいえ、真実は劇薬なのでそればかり使っていると人間関係は崩壊する。

私はお世辞が好きではなく、心に無い事を口にしたくないという性格なのだけれど、かたくなに自分を貫こうとすると人間関係を築けなくなる。それでもいいと思っている私のような人はいいけれど、会社勤めや親戚付き合いなどの場ではそうもいかないと思う。

このさじ加減が難しいが、"うそ"を嫌う欧米人はうそでもない真実でもない表現がとても上手いという。例えば、上手いとは言えない歌を聴かされた時「心がこもっていましたね」と言ってみたり。

こういう表現が出来るという事はとても大切だと思う。よくある事では、知人の恋人などの写真を見せられた時。お世辞にも素敵とは言えない場合。たいていは「優しそう」と言うと思うが、これはもう使い古されているので真意がバレそうだ。

例えば「結婚したら子どもを大切にしそう」とか「仕事が出来そう!」とか。これらは見た目からの想像を語っているのであって、うそではない。正直な気持ちだ。良い表現を見つける事は大切。その為にも語彙力というのは、身につけていて損はないと私はよく思う。

一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり

「ひとりで楽しく生きている人は心にパートナーを持っているはず」と書かれていて非常に共感した。私も孤独な人間だけれど、常に心の中にはパートナーがいる。もちろんそれは異性とは限らない。

今で言えば、この著者。本を読んで私は彼と心の中で対話をした。他の日にはラジオで語る好きな人、本で語っている尊敬している人、ブログを書いている共感できる人、私は常に誰かと心の中で対話をしながら生きている。一人でも二人で生きている。

本の見出しの中から3つ抜粋したが、他にも

「ふたつよいこと さてないものよ」「ものごとは努力によって解決しない」「二つの目で見ると奥行きが分かる」「幸福になるには断念が必要である」

など、興味深い見出しは多い。時々、開いて心を癒やしたい本だった。