悪の教典・蓮実聖司というサイコパスに憧れの気持ちを抱いた

最近、自己啓発本を読まなくなってきたので、以前から読みたいと思っていた"悪の教典"を購入した。2012年に伊藤英明さんが主演で映画化されたものだ。元AKBの大島優子さんが「私はこの映画が嫌いです。涙が止まりませんでした」と言って話題になった。

まだ映画化される前に何かの番組でこの本が紹介され、誰かが絶賛していたので興味が湧いたのだが、今まで読まずにいたのは、読みたいと思っていた頃はまだ文庫本が出ておらず、かなり分厚いハードカバーの上下巻だったので「ちゃんと私は読み終えるのだろうか」という気持ちと「持ち歩くと重そうだな」という気持ちがあってなんとなく躊躇していたから。

そんなこんなで月日は経ち、気が付いたら文庫が出ていたのでとりあえず上巻を購入。私はこれを飽きずに読みきれるだろうか…と心配をしていたけれど、全くそんな心配の必要はなくドキドキしながら上下巻を1週間ほどで読み終えた(蓮見の正体が徐々に明らかになる上巻が特に面白かった)。

悪の教典の主人公は高校教師で、生徒から"ハスミン"というアダ名で慕われている蓮実聖司という男性。超高学歴のイケメン32歳、ユーモアがあって優しくて面倒見がよく、同僚からも生徒からも非常に人気のある人物。

すでに映画化されているので、私は「蓮実聖司=伊藤英明」を想像しながら読み進めた。蓮見役に伊藤英明さんというキャスティングは、これ以上に無いほどピッタリだと感じた。

蓮見は表向きは完璧な人間で裏の顔はサイコパスなのだけれど、裏の部分も完璧。良心、共感能力などが完全に欠落しており、動物だろうが人間だろうが1ミリも躊躇せず口笛を吹きながら殺害を実行する。やり方も残酷だ。

実社会でこのような犯罪が起きたらもちろん許されるべきものではないけれど、フィクションとなると話は別で、私は蓮見の事が大好きになった。必殺仕事人をカッコいいと思うような感情と似ているのかもしれない(いや違うか)。

蓮見ほど冷酷であれば、普段の生活の中で何かに悩む事なんて無いだろうと思う。あるとすれば、邪魔だと感じる人間をどうやって始末するか、きっとその程度。悲しむ事も無ければ、落ち込む事もない。マイナス感情やネガティブ感情というものは全く存在しないだろう。

日々の暮らしの中で、将来に対する不安や自分に対する劣等感などで常に心がスッキリしない私にとって、そんなふうに心が淡白な蓮見は憧れの存在。あ、それは蓮見が容姿端麗だからというのもあるけれど。

(もちろんフィクションでの話であって、現実に存在するであろうサイコパスに憧れの気持ちは抱いていない)

そんな蓮見の心(性格)は、私の心(性格)と正反対の位置にある。逆に言えば、心の弱さというものが人間らしさなんだろうなと思う。私は、人間らしさを捨てて蓮見のようになりたいと思う時がある。捨てられたらどれだけ楽だろうかと。だから蓮見という超冷酷な人間に惹かれるのだろう。

悪の教典は続編がありそうなので、楽しみにしたい。そして、私は意外とサイコホラーが好きなんだなと気付いたので、これからは作者である貴志祐介さんの本を楽しもうと思う。暮らしの中に楽しみが1つ増えて嬉しい。